
寿司からの重大な予告
害になるような事柄は何も書いていないことを相手に見せるという意味からも、インタビューをリードする人は必ずノートなどを机の上に出してメモをとるのである。
そうすると、たとえば「あなた、それ、漢字が間違ってるよ」とか「そうじゃないんだよ」などと、相手がいろいろと教えてくれる場合もある。
教えてもらうようになればこれは大したもので、そこで共同作業の意識が生まれる。
一緒につくったものという位置づけになると、そのあとのレビューも頼みやすいし、相手も愛着心をもってくれる。
すなわち、よい関係をつくる第一歩になる。
一方、もう一人の相方は、質問リストを頭のなかに置いてインタビューの成り行きをチェックする。
頭で難しいという場合は、ノートの裏や下の方など、目立たない場所にチェックを入れる。
この場合はノートを手元などに置いていても構わない。
クライアントの社内であれば、質問リストを見せてもよいという考え方もできるが、なかには聞きにくいことをぶしつけな表現で書くこともあるため、基本的には目立たないところにもっておくのがよい。
その上で、インタビューの最後に「ほかに聞くことはありませんか」とリード役が話を振ったときに、聞くべきことを質問することになる。
また、「聞きにくいが本質的なこと」はきちんと覚えておいて、ずぱっと聞くことが必要である。
聞き方のテクニックとしては、「数字を聞き出す」ことを常に心がけなければならない。
たとえば「そういうケースは多いよ」という回答がくれば、すかさず「多いというのは1O件のうち六件くらいですか」と聞いて、暖昧な形容詞を数値化しないといけない。
別に正確な数字でなくても構わない。
1O件のうち1O件なのか、5件なのか、3件なのかを知りたいのである。
人間の感覚は人によってばらばらであり、1O件のうち1件あれば多い方だとして話す。
ところが、聞いた方としては、多いというのは1O件中6件であるというように、自分の感覚で判断してしまうものである。
同様に「ほとんどできている」と相手が言ったときに、「ほとんどというのは、どれくらいですか」と聞かないといけない。
それを「ほとんど」や「多い」、「大概」といった抽象的な、相互に誤解を招きやすい言葉で議論を進めていくと、仮説立案などのステップで大きなミスを犯すことがある。
それを避けるためには、たとえ感覚的ではあっても、数値化して捉えることを心がけないといけない。
これが聞き方の重要なポイントである。
最後に、インタビューを終える前に、もうひとつ聞いておくことがある。
それは、「御社でこの分野に最も詳しい方はどなたですか」、「この分野に関してひと言意見をもっておられる方、あるいは新しいことに取り組んでおられる方はどなたですか」と、人の紹介を頼むことである。
そこで名前があがるような人たちは、自分なりの考え方や、長年の聞に自分で集めたデータをもっている確率が高い。
彼らと知り合うことで、実はコンサルティングそのものの中身や、データをとる手聞がずいぶん省けることが多い。
また、そういった人たちと知り合うことは、経験上、仮説立案や実行のステップで非常に有効である。
芋づる式に人のネットワークを広げていくことによって、プロジェクトがより効率的に進むのである。
さらに、そういった人たちと意見を交わすことで、全体像がより一層はっきりと見えたり、計画を実行に移すときにキーマンになる人がわかるなど、付随的なメリットも数多く生まれる。
インタビュー相手とよい関係をつくり、よい人を紹介してもらい、「誰々の紹介で、この分野に関してはあなたが一番知見が深いとうかがいましたので、話を聞かせてください」と言えば、まず相手は断らない。
結果として、良質な情報がどんどん集まってくるのだから、それをうまく使わない手はない。
インタビュー終了後は、一緒に行った者同士がメモを交換して客観性の維持に気をつけることも忘れてはいけない。
そして、抜けているところや思い違いをしているところがないかを含めて、もう一回検証する。
それができるようにメモをつくるのが、インタビューで心がけるべきことなのである。
すばらしい洞察力に基づく分析結果も、革新的な提言も、その内容をうまく伝えられなければ価値を認められないことさえある。
この節では、効果的なプレゼンテーションをどうやって実現するかについて説明したい。
ポイントは、どう見せるかといった単に表面的なことではなく、どう考え、組み立てるかという本質的なところにある。
よいプレゼンテーションの特搬は何か、何がコミュニケーションを成功させるのかという点を整理すると、次の四つのポイントがあげられる。
聴衆にとって、理解できる、信用できる、役に立つ、おもしろい(興味深い)である。
これらの四つがそろうとビジネス・コミュニケーションとしては非常によいものになる。
聴衆が「理解できる」ためには、メッセージがはっきりしていなくてはならない。
さらに、その内容が聴衆の期待に沿っていなくてはならない。
「信用できる」ためには、キーとなる疑問に答えることが必要だ。
しかも、それがなぜなのかが論理的に展開されていなくてはならない。
「役に立つ」ためには何が重要で何が些末なのかが明確にされ、次に何をすればよいかがわからなくてはならない。
「おもしろい」ためには、専門用語を避けて平易で誰にでも理解できる内容であることが必要だ。
これらの特徴がすべて満たされているプレゼンテーションが、よいものであることは想像に難くない。
では、具体的にどうやって実現するのかを順に説明していきたい。
まずは、細かいテクニックは横へ置いて、一番大事なことは「よい構造」をもつことである。
それは、第一章の「仮説立案」で見たピラミッド型構造である。
ビジネスでは基本的に、プレゼンテーションやレポートの構造はピラミッド型であることが正しい。
まず「何をなすべきか」というメイン・メッセージがあり、それを具現化するための「アクション・プラン」があり、それを支える「理由(分析結果とがあるのが、よいプレゼンテーションの構造なのである。
これを簡単に述べると、「何をなすべきか」、「なぜそうすべきなのか」、「どうやってそれを知ったのか」という順で、聴衆にメッセージを発し、疑問に答えていくわけである。
その点を図却を使って説明したい。
問題解決の流れを順になぞると、「事実としてこういうことがある」、「これを分析すると、こういう結論である」、「ゆえにこうすべきである」のようになる。
これが問題解決の流れだ。
ところが、よいプレゼンテーションの構造は、まず最初に「何をすべきか」、そして「なぜそうすべきか」、その後に「どうやってそれを知ったのか」がくる。
通常、日本人の場合は、前者の流れで構成する方が多い。
「最初に、自分たちは何をやって、これをやって、あれをやりました。
そうすると、これがわかって、そのときはこうではないかと思ったのですが、分析を進めると、実は本当の答えはこうだったので、こういう提言になりました」、という順番で話しがちである。
この構成は、トップ・マネジメントなど、短時間で意思決定を行うことを要求されている人たちを相手にするには冗長である。
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